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ゆぐどらぐらし

世界樹の迷宮2のプレイ日記のようなキャラ日記

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マミヤの日記 第3回

◆天牛ノ月 27日

今日は待機組だったが、探索に行ったベンテンからいろいろと話を聞いた。もちろん酒場でだ。
天空の城というのに大きく近づいたらしいのだが、話が大きくなりすぎてどうも実感が沸かない。
もちろん、目的のひとつではあるし喜ばしいことではあるのだが……自分達と身体の造りから違う種族だとか国の未来を任されるとか、私達の冒険というのはそんな大それたものだったのだろうかと今になって戸惑う。

はて、そもそも私の冒険の目的とはなんだったろうか……
すぐには思いつかない。いや、確かにあったのだが、それはもう変わってしまったと思う。
今の私の目的……少し考える時間が欲しい。

さて、今日は冒険以外にもおもしろいことがあった。
コーエンの推理ショーだ。

どうやらアーシャが宿で出会ったという幽霊の正体について明かすのだと聞いてヒマなギルドメンバーは食堂に集まった。ちなみに集まらなかったメンバーはいない。
が、みんなヒマを持て余していた……というわけでもないようだった。食堂に集まる面々の表情を見るとどうにも少し重い。
私同様むやみに大きくなってしまったこの冒険の行く末に悩んでいたのだろうか……着席すると、この丁度よい気分転換に期待して目を輝かせているようだった。

「さて……」
コーエンがぐるりと視線を巡らせた。
「先に言っておくが、世の中に不思議なことなんてものはない。確かに今俺達が挑んでいる樹海は相当に理不尽な場所ではあるが、説明できないものには未だ出会っていない」
リーダーを見ると、モリーノとこそこそと会話をしている。
どうやらそれは不思議なものだらけであるという趣旨であったようだ。
「だからまあ、この程度のことをわざわざ説明してやらんとわからないことこそが不思議なのだが、宿の女将が解決しろと言うのだから仕方ない」
そう言うとコーエンは咳払いをひとつして推理を始めた。

「まず状況を確認しておく」
コーエンは食堂のテーブルの上にバラバラとカードを広げた。
その一枚一枚に「トイレ」「廊下」など場所の名称と、「アーシャ」「マミヤ」など人物の名称が書かれている……手製だろうか。
それをさっと並べ替えると話を始めた。
「最初に一番に解くべき謎はこれだ」
指差したのは「トイレ」のカード。
「昨日の深夜、手洗いに起きたアーシャがここで死神と出会った、というものだ……が」
「アーシャ」のカードをつつつ、とスライドさせる途中で止め、別のカードに指を滑らせる。
「その時部屋にいた人間を覚えているか、アーシャ」
「えっと、暗かったですけど、多分ベンテンさんとマミヤさんは帰ってきていなかったと思います……」
「そう、あの日二人は遅くまで酒場にいたことが確認されている、そして」
「ベンテン」そして私「マミヤ」のカードを引き寄せ、途中で「マミヤ」だけを動かすようにした。
その仕草に少しドキっとしてしまう。ただ自分の名前のカードに指が触れているだけだというのに……

「ベンテン、さっき聞いた話だが」
「ああ、マミヤは先に帰った。ほんの少しだが……」
確認するように頷くとコーエンは私のカードを「トイレ」に重ねる。
「どうやらマミヤはいつも以上の深酒で気分が悪くなったらしく、手洗いに行くため早く戻ったという」
確かにその通りだ、だが頻繁ではないにせよ時折あることなのでそれがどうしたというのかわからなかった。
いや、恥ずかしい話ではあるのだが。
「ここでさらに、女将の証言がある。あの日の夜、手洗いのちり紙を切らしていた、というものだ」
「あ、ああ、確かになかった……と思う」
私は顔を赤くしながらも、コーエンの言葉をフォローしなければと思い咄嗟に発言した。
「さて、このタイミング、ここにアーシャが来ると、どうなる?」
「どうなる、って、まあ紙をくれって頼むかな」
モリーノの言葉に満足そうに口の端を上げてコーエンは宣言した。
「そう。ということで、一つ目の謎は解明だ」
「はぁ?」
ぽかんとする一同に不満そうにコーエンは言う。
「察しが悪いな……アーシャ。トイレから聞こえた言葉をもう一度」
「あ、えと、確か苦しそうな声で『シニ……ガミ』って」
「……あー!」
当事者の私よりも少し早くベンテンが感嘆の声を上げた。
「もしかしてそれって『わたしに、ちりがみを』ってこと?」
こちらを見つめるベンテンに私は告げる。
「覚えていない……でもベンテンが……来たと思って、言ったかも」
「満足か?」
同じ席に座っているにもかかわらず遥か高みから見下ろすようなコーエンの声にドキドキする。
「ひとつめはね。でも、まだあるんじゃなかったっけ?」
クジョーの言葉にコーエンはやれやれというポーズをする。
「廊下で聞こえた男のうめき声のことなら、似たようなものさ」
そう言って今度は「モリーノ」と「モモ」のカードを「廊下」に近づける。
「なんでその二人なんだ?」
リーダーの言葉にコーエンは「まあ見ていろ」とだけ告げる。
「まず、昨日の夜、モリーノはモモと出かけた。これは間違いないか?」
「……」
モモは答えない。
「……」
モリーノも答えない。
お互いバツが悪そうに空中を見つめている。
「ふむ、確かに連れ立って出かけたのを見たぞ」
ノージがそう言うと二人は同時にノージをにらみつけた。当のノージはとぼけた顔で微笑み続ける。
「そして、出かけた先で喧嘩でもした、違うか?」
モリーノは答えなかったがモモが突然声を上げた。
「だってこいつが別の女をずっと見てやがって……あ」
「……バカ」
あわあわとするモモと頭を掻くモリーノを尻目にコーエンの推理は加速度を増していく。
「そしてまあ、宿に戻ってきてもその喧嘩は続いた。これは俺様も聞いていたから間違いない。全く夜遅くに迷惑なことだ」
シュンとする二人などただの置物かのようにコーエンは続ける。
「そしてモモのビンタとヘヴィストライクが決まってモリーノが気絶」
「……」
モリーノに注目が集まる。よくよく見れば頬が不自然に赤い。朝はもっとくっきりと赤かったに違いない。
「そしてそこに……」
コーエンが動かしたカードに皆の目が見開かれる。
「え、なぜですか?」
さくらがそう尋ねたのも無理はない。それはここまで全く話にかかわっていなかった「シハルツ」のカードだったからだ。
「細かい説明は後でする。とりあえず今は状況から推測できる事実のみだ。倒れたモリーノを放置してモモが部屋に入る。大方ナンパ男がそこで倒れてるとでも言ったのだろう。シハルツはそれを聞いて部屋を出た、違うか?」
シハルツは唇を尖らせたまま黙っている。
沈黙を肯定と受け取ってコーエンは続けた。
「シハルツが行った事。それは呪言でモリーノを縛ることだ。ついでに睡眠もかければ万全だったろう。そしてそれを廊下の隅のロッカーにでも入れれば準備完了」
「ちょっと待ってくれ」
口を挟んだのはクジョーだ。
「何の準備か知らないけど、彼女の体格では眠ったモリーノ君を移動させることなんて無理だろ?」
その言葉を待っていたとばかりにコーエンは新たなカードをスライドさせる。
「たま」と、そこには書かれていた。
その名の獣は目の前で人間達が繰り広げている奇妙な遊びの趣旨が理解できないらしく、食堂の床でごろごろとくつろいでいた。
クジョーが声をかけると嬉しそうに一声鳴いて身体を起こす。
「たま、君は昨晩モリーノの身体を移動させたかい?」
たまは嬉しそうにきゅっきゅと鳴きながら頷いた。おそらくは友人であるシハルツの手伝いをしたことが誇らしかったのだろう。その顔に一切の邪気はなかった。
「シハルツとしては大成功だっただろう。なにせひとつの予定だったトラップが偶然にもふたつに増えていたんだからな」
「シーちゃん!?」
アーシャが向き直ると、シハルツはいじけたように下を向いた。
「というわけで、うめき声の正体はロッカーに入っていたナンパ男だった、というわけだ」
「てゆーかロッカーから出したのお前じゃねえか!さも推理したような顔しやがって!」
「心外だな。俺様が見たのは無様にロッカーでもがくどこぞのバードだけ。そこに至る道筋は全てありえない事象をそぎ落としていった俺様の推理の賜物だ」
怒鳴りつけるモリーノをコーエンはさらりとかわす。
「でも、じゃあシハルツがアーシャを怖がらせようとしたってことか?なんでさ、あんなにいつも仲良しなのによ」
リーダーの言葉はもっともだ。おそらく一番それを思っているのはアーシャだっただろう。
「それが原因さ」
そう言うとコーエンはこの日記をぱたぱたと振って見せた。
推理に必要だからとアーシャから受け取ったらしい。ちなみにそのおかげで今日コーエンからこの日記を受け取ることが出来た。ちょっと嬉しい。

それはともかく、コーエンはここ数日のシハルツとアーシャの日記を差す。
「つまり、シハルツはアーシャを心配したいが、アーシャはシハルツを心配させまいとする。このすれ違いが原因だ」
「あの、よくわかりません……」
アーシャがおずおずと言うと、コーエンは少し困ったような表情をした。
「心理誘導の基本と言うのはその、前の段階にある。簡単に言うと何か前提があれば誘導しやすいということなんだが……たとえば、一緒にカレーを食べたいと思っても相手が特にそう思っていなかった場合、急に誘っても賛同が得られるかわからない。。事前にカレーの話をふっておくとか、カレーの香りを嗅がせるとか、そういうことをしておくと自然と昼食がカレーに決まる。これでわかるか?」
「つまりアーシャが怖がる前提を作っていたってこと?」
「アーシャの日記に『以前から苦手としていた公宮の魔物図鑑の絵を見に行った』とある。これによって恐怖心を掻き立てられていた人間が暗闇で謎の声を聞けば、当然最高に怯えるだろう。幽霊やバケモノだと思うかもしれない」
「それをシハルツがアーシャにする理由がわかんねえよ」
「アーシャの日記にはシハルツを心配させまいとする記述がある、これはシハルツにとっては自分からの自立、と読み取ることもできる事象だ」
「つまり……ええと、アーシャがしっかりして自分を頼らなくなってしまうとシハルツが寂しいから怖がらせて自分に頼るよう誘導した、と言うことですか?」
「……目論みは見事成功したようだ」

コーエンが差した日記の箇所にはアーシャの字で「シーちゃんのふとんに逃げ込みました」とあった。

その後はほのぼのとしたものだ。
かわいい犯行動機を見抜かれてふてくされるシハルツとそれにくっつくアーシャ。
なかなか顔を見合わせられないモリーノとモモ。
クジョーになにやら諭されているたま。
よっぽどたくさん飲んでいたはずのベンテンに深酒を説教される私。
「まあ、取るに足らない事件だったよ」
そう言うとコーエンは微笑んだ。
食堂は笑いに包まれる。
そして、誰一人「空き部屋から聞こえてきた謎の挨拶にコーエンが全く触れなかったこと」には触れなかった。これほどの見事な推理を披露しておいて触れない理由など……ひとつしかないからだ。

とはいえいやはや、なんとも素晴らしく面白いショーだった。
せめてもの礼に、明日の朝はコーエンに出来るだけ明るく……その、苦手ではあるが私にできる限りの笑顔で……挨拶をしてあげよう。

◆天牛ノ月 28日

少し気になったので、コーエンに無理を言ってあるものを借りた。
昨日の推理ショーに使っていたあのカードだ。
何が気になったかと言うと、名前でないほうの面。
あえて裏とは書かない。どちらが裏か決められるのはコーエンだけだからだ。

実は昨日、推理の途中に一度だけそのカードがめくれかけたのだ。
他の者は気づかなかったか、あるいは気にしていなかったようだが、そのカードの反対の面に何かが書いてあるのを私は見逃さなかった。
そこで今日嫌がるコーエンを押したり引いたり転がしたり捻ったりしてお願いして借りたのだ。
ただの模様などならこうも強引に見たりはしなかったのだが、めくれたのが私のカードでそこに書いてあった……いや、描いてあったのがかわいらしい似顔絵だったものでな。

さて、そのカードだが他の人ものにも、おそらくコーエンの描いたであろう可愛らしい似顔絵があり、その脇に小さくコメントがいくつかある。
アーシャなら「小さい」「気が弱い」モリーノなら「ムードメーカー」「お調子者」と言った具合に。


自分で強引に奪っておいてなんだが、何故コーエンはこれを貸してくれたのだろうか。
おそらくこれは彼が仲間についてまとめたカードだ。戦術などを考えるのに使っていたと推測することもできるが、なんとなく私はこれをもっと優しい理由から創ったものに思えてならないのだ。
だとすると、私が知っていたコーエンはこういったものを人に見せることを頑なに拒む人間だったようにおもうのだが、何故?となるわけだ。

つまり、コーエンも少しずつ変わっているのだろうか。
なんというか、弱さを見せる事を許容し始めているというのだろうか……


もう一度昨日思ったことをかんがえ直してみよう。そう、私はこの冒険の先に何を求めていたのだろうかということについて。

と、その前にコーエンにカードを返してこなくてはな。

◆王虎ノ月 1日

昨日は日記を書いてからベンテンを誘って酒場にいった。
そして、思いきって彼女の冒険の目的について尋ねてみた。

彼女は言う。
「知ってると思うけど、私の冒険は一度終わったんだよ、10年前にね。今の冒険は罪滅ぼし。死に場所を捜してる。そんな感じ」
私は言う。
「そんなことはない。今のお前は、その、うまく言えないがそんなに捨て鉢には見えない」
彼女は言う。
「まあ落ち着きなさいよ。だった、って言うつもり「だった」のよ」
私はなぜか胸を撫で下ろす。
彼女は言う。
「今はね、このギルドが私の新しい家だと思えるようになった。でも、家族だとすると、『ずっと一緒』ってワケには行かないのよね」
私が首を傾げると彼女が言う。
「だって、本当の家族だって出稼ぎにいくこともあれば新しい家族を創ることもあるわけじゃない?」
私は言う。
「つまり、この冒険が終わったらバラバラになるのもやむなし、ってこと?」
少し語気が荒くなったかもしれない。
「結果的にはね。でもさ、家ってのは……」
彼女は言う。

「いつか戻ってくる場所なのよ」


それは旅に疲れたとき、顔が見たくなったとき、あるいは死んでしまった時。
決して肉体だけじゃなく、その心や魂の帰る場所。それが家なのだと。
彼女は言う。
「私のかつての仲間は自分の家に帰ったかもしれない。もしかしたら私のところに帰ってきてくれたかもしれない。でもどっちでもいいんだよ。その人が帰りたいと思う場所が『家』なんだから。そして、私はこのギルドをその『家』だと思ってる。だから、今回の冒険の目的なんてどうだっていいんだよ。皆で何かを成し遂げて、そんで、戻ってこれればね」
彼女は手もとのジョッキを飲み干して微笑む。照れくさそうに。



私は最初、自分を拾ってくれたこのギルド、主にリーダーへの恩義を返すためメンバー全員を守れるようになりたいと思った。
次に、その、コーエンとだな……まあ、それはいい。
そして今、冒険の終わりが近づいた今、どうけじめをつけるべきかを迫られている、と勝手に感じている。

「私みたいな大雑把なのじゃなくたって、コーエンの嫁になるとかだっていいんだよ」
ベンテンはからかうように笑った。……どう答えたかは覚えていない。

私の答えは……もう少し先になりそうだ。
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| マミヤ/パラディン | 20:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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